学科ニュース
写真家に学ぶ~写真を通して「視点」を考えよう~
マスコミュニケーション学科(来年4月から「社会デザイン学科」に名称変更)の専門科目【映像文化】では、9月25日、写真家の山岡祐介さんをお招きし、「映像の原点は写真にある」と題して講義をしていただきました。
キーワードは「視点」。新しい視点に気づくことをゴールに、実際に写真を撮影するフィールドワークを交えながら講義が進められました。
【フィールドワーク ―before―】
フィールドワークでは「6号館にある銅像を撮る」「4号館にある赤色を撮る」「音楽を聴きながらもう一度銅像を撮る」をテーマに写真を撮影しました。
「6号館にある銅像」は、正面や横から撮影した、似たような視点の写真が多く見られました。一方、「4号館にある赤色」では、学生それぞれが「赤色」を探すところから始めたため、撮影する対象や構図も様々。この2つから、「指定されたものを撮る」ことと「テーマを与えられて自由に撮る」ことでは、撮り方や見え方の違いがあることを知ることができました。
さらに、「音楽を聴きながら」では、音楽を聴くことで見え方が変化することを体験しました。音楽を聴くと気分に変化が生まれ、外界の音を遮ることで視覚が冴えます。山岡さんは、写真を撮るうえで「音」も大切な要素のひとつであると語りました。
【撮る楽しさ】
現在、山岡さんは【広島を切り取る人】として、特に雨の日の「広島の日常」を撮影し続けています。人と違うものが撮りたいということから始まりましたが、ただ違えば良いということではありません。「何のために撮るのか」「なぜ撮るのか」「何を伝えたいのか」をはっきりさせることが重要だと語ります。
もうひとつ、山岡さんが広島を撮り続けるようになった背景には、「写真は撮った瞬間から過去になる」という気づきがありました。例えば、広島の街を写した写真は「その瞬間の広島」であり、「もう見ることのできない広島」です。だからこそ山岡さんは、「広島ってこんなにカッコイイ街だったのか」と思ってもらえるような、独自の視点を見つけ撮影し続けていると言います。
【フィールドワーク ―after―】
講義の終盤に、もう一度「銅像」を撮影するフィールドワークが行われました。すると、最初の撮影の時とは違って、角度や場所を変え、時間を掛けて撮る学生が増えました。学生の撮った写真をみた山岡さんが、思わず「面白い」と絶賛するほど、新しい視点が生まれていました。「撮る対象は変わらなくても視点を変えると世界が変わる」。その言葉を体験することができたフィールドワークでした。
写真について熱く語り、学生の写真を一枚一枚見ながら言葉を交わす山岡さんの姿から、写真に対する想いが伝わってきました。
最後に、「映像と写真」についての話がありました。写真を1つのフレームと考えると、写真の連続したものが映像になると考えることができます。写真と映像には近い関係性がある一方、映像が時間の流れをそのまま表現するのに対し、写真は時間を「瞬間」で切り取ることで、見る人の想像力を膨らませる余地があると言います。どちらも「時間を切り取って表現するもの」ですが、「映像」と「写真」の表現方法の違いを活かした作品づくりが大切になりそうです。
およそ3時間に及ぶ講義でしたが、自分らしいものの見方に気づくきっかけとなる、【視点】について学んだ時間となりました。