日本語や文化、歴史を通して人についての理解を深め、自身の資質や能力を豊かに伸ばしていく。
- 児森
- 文学について学びたくて比治山へ入学しました。今は中学校の国語科教員を目指して採用試験の勉強と、卒業論文の準備をしています。
- 中元
- 大学では文学と、教員免許の取得を目指して教職課程を学びました。卒業後は、塗料の総合商社で営業職をしています。
- 小林
- 児森くんは、これまで受講した中でどのカリキュラムが印象に残っていますか?
- 児森
- 「日本文学研究Ⅰ」です。語りや言葉の仕組みに着目しながら小説を分析して、高校の国語とは違う面白さや難しさがありました。教職課程の「国語科教育法Ⅲ」では、初めて模擬授業をしました。最初は緊張して思うように授業を進められなかったけど、少しずつ自分の課題を見つけることができて、授業づくりについて理解できました。中元さんも教職の授業を選択していたんですよね?
- 中元
- そうですね。ただ教育実習のときに、自分が考えていた教員の働き方と実際とはギャップがあると感じて、採用試験の筆記に合格はしましたが、一般企業への就職活動に絞ったんです。
教員採用試験の勉強と就職活動はどう両立しましたか?
- 小林
- その段階で決めるのは少し珍しいことではあるけど、それも一つの選択肢ですね。教職課程で学んだことは、社会に出てから活きている?
- 中元
- すごく活きています。教職課程で模擬授業をして感じたのは、分かりやすい言葉選びや言い回しをしないと生徒には伝わりにくいということです。仕事で日々お客さまと接するときも同じで、話し方やメールの書き方は簡潔に分かりやすくすることが大事だと思いました。あと、学科の授業と教職課程のどちらも履修していると、課題が立て込むことがありました。そうした経験から、優先順位をつけて課題に取り組む姿勢や計画性を持って遂行していく能力を身につけることができたと思っています。教職課程での学びは、どの仕事にも通じるなと実感しています。
- 児森
- 教員を目指しながら一般企業の就活もしたいと思っています。就活はどのように進めましたか?
- 中元
- 自動車関係に興味があったので、就職支援サイトで自動車メーカー、ディーラー、関連企業を検索して、各社のウェブサイトも見ながら企業研究をしました。その中から気になった企業にエントリーしましたね。


人と話しながら形にしていく営業職が楽しいです。
- 児森
- 試験勉強と並行しながらの就活でしたか?
- 中元
- そうですね、企業研究は試験勉強の合間や休憩時間にしていました。気になる企業のインターンシップや職場体験には参加するようにしていたので、その移動時間に試験勉強をして、時間を上手く使いながらやっていました。今勤める会社へ入社を決めたのも、職場体験で営業同行させてもらって、社員の方の雰囲気がよく、仕事のやりがいを感じられそうだなと思ったからなんですよ。履歴書作成や面接の対策は、キャリアセンターを活用して完成度を上げていきました。受けた企業のほとんどが面接重視だったので、書面よりも面接でどのように自分をアピールするかを考えながら取り組みました。
- 児森
- 試験勉強で工夫したことはありますか?
- 中元
- 採用試験は出題の言い回しが少し独特なんです。そうした出題形式に慣れることと、どんな質問が出やすいか傾向を知って対策することに重点を置いて、ひたすら過去問を解きました。
- 小林
- 教員を目指す学生には夏休みに補習を行うなど、試験の合格に向けたサポートを行っています。また一般企業を目指す学生を想定して、2年次の必修授業の中で企業の人事担当者から話を聞く機会を設けています。疑問や不安を解消しながら就活に取り組めるよう、学科としても環境づくりに努めています。
- 児森
- 仕事のやりがいは何ですか?
- 中元
- お客さまが困っていることを理解し、それに対して自分と会社ができることを考えて提案し、その結果契約に至ったときにやりがいを感じますね。日本語や読書が好きで比治山に入学して、言語について広く学んできたので、人と話しながら形にしていく営業職は楽しいです。
- 小林
- 言語を学ぶということは、人間がどんな言葉を使って生きているかを考え、人間についての理解を深めるということ。この学科では教員や学芸員の資格が取れますが、資格取得だけを目的とするのではなく、人間について学ぶことで自身の資質や能力を伸ばし、自身がどう生きるのかを考える学科だと思っています。さまざまな職業に広く可能性が開かれているし、言葉の豊かさは人生の豊かさにつながります。日本の文学や文化に興味がある人は、ぜひ学びにきてほしいですね。
