本学科の吉良悠吾先生らの論文がInternational Journal of School & Educational Psychologyに掲載されました。

タイトルは”Implementation and effectiveness of a sustained depression prevention program for high school students in Japan”です。

論文の要約は，以下の通りです。
日本では，多くの高校生が深刻な抑うつ状態にある。高校生の抑うつ問題解消のためには，学校規模の認知行動的抑うつ予防介入が有効であるが，高校のカリキュラムは教科教育のために多くの時間を割いているため，高校生に対する学校規模の抑うつ予防介入はあまり実施されていないのが現状である。そこで私たちは，プログラム内容を複数の学年に分けることで，長期的だが低頻度の抑うつ予防プログラムを複数年にわたって実践し，その効果検証を行った。介入実施校に2014年から2019年に入学した225名の生徒を対象に，2年間の介入期間と1年間のフォローアップ期間で得られた調査データを用いて，3レベルの階層線形モデル分析を行った。その結果，プログラムを受けた生徒は3年間で，抑うつとその関連要因が改善したことが示された。また，オンライン調査により，介入終了時点とその1年後時点における本プログラムを受けていない日本人生徒608名のデータを取得し，Welch検定とカイ二乗検定を用いて比較分析を行った結果，本プログラムを受けた生徒は受けていない生徒よりも抑うつが低く，抑うつ状態にある生徒の割合も少ないことが示された。これらの結果から，長期的だが低頻度の学校規模の認知行動的抑うつ予防プログラムが，学校カリキュラムへの導入負担を軽減し，持続的な実施を促進するとともに，高校生の抑うつを予防する効果を有することが示唆された。

今後のさらなるご活躍をお祈り申し上げます。